出産の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)で適切な処置をしなかったため、母子が重い障害を負ったとして、京都市の夫らが京都府京田辺市の「ふるき産婦人科」(休止)に計約6億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、京都地裁であった。増森珠美裁判長は医院側の過失を認定し、介護費用など計約3億円の賠償を命じた。
判決によると、ロシア国籍のエブセエバ・エレナさん(44)は2012年11月、脊髄(せきずい)を保護する硬膜の外側に細い管を入れて麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を受けた後、心肺停止状態になり、重い障害を負った。帝王切開で生まれたみゆきちゃんも重い脳性まひになり、6歳で亡くなった。
医院側は過失を認め、損害額が主な争点だった。判決はエレナさんに24時間態勢で介護していることなどから介護費を約1億2900万円と認定し、みゆきちゃんが将来得られたはずの「逸失利益」を約2700万円、慰謝料を3200万円などとし、年金などを差し引いて算出した。
エレナさんの無痛分娩を巡って2017年に男性院長が業務上過失傷害容疑で書類送検されたが、京都地検は過失を認定する証拠が得られなかったとして不起訴(嫌疑不十分)とした。(高嶋将之、白見はる菜)
「事故前に戻りたい」思い続けた
出産の際の痛みを麻酔で和らげる「無痛分娩(ぶんべん)」をめぐり、京都地裁は26日、産婦人科医院に計約3億円の賠償を命じる判決を出した。無痛分娩をした女性の家族が会見し「(医院が)やるべきことをできていなかった、と裁判所も認めてくれた」と意義を語った。
「ちょっと待っ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル